ただメタボ対策のためでなく-自転車で銭湯めぐり
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「ツール・ド・銭湯2009」第14ステージは6月17日(水)、川崎市多摩区の「平和湯」。JR南武線の久地駅から北へ0.7kmのところにある。
自転車で行くなら多摩川サイクリングロードを走り、「多摩新町」という信号のところで住宅地に入ればよいが、この信号のところには一般道に降りるスロープがないので注意(階段はある)。
「多摩新町」から南に伸びる道を進むと、ほどなく商店が数軒見えてくる。平和湯はこのブロックにあるのだが、道からは少し奥まっているうえ、入口への通路が狭いのでうっかりしていると通り過ぎてしまう。「喜楽庵」というそば屋の右隣、「フレンドショップいとうや」という雑貨屋の向かいに平和湯はある。
平和湯の建物は破風造りの木造。川崎浴場組合連合会オフィシャルサイトによれば築四十数年だそうだ。
入口前の通路にはすでに自転車が10台近く置かれている。この通路からフロントのおかみさんが見える。
暖簾は牛乳石鹸のもの。中へ入ると左に下足箱、右に傘箱がある。上がると右手に3畳ほどのロビーが見える。男湯は左側だ。
あまり広くない脱衣所に入るとちょうど湯上りの常連さんたちが真ん中の長椅子に腰掛け世間話をしていた。とりあえず近くのロッカーにバックパックとヘルメットを押し込み浴室へ出た。
浴室は脱衣所の2~2.5倍ぐらいの広さ。間口6m×奥行10mぐらいだったろうか。入ってすぐ左(外壁側)に水風呂とサウナ室があり、右(仕切り壁側)にシャワーブースが2つ。そのうちの1つにはハンドシャワーが付いていたが、もう1つは水の栓が取れていた。カラン配置は仕切り壁側より5+(6+6)+4、すべてシャワーヘッド付き。
黄色いケロリンの桶とプラスチック製の椅子を取りカランに陣取る。桶に湯を出し、手を入れると熱い。すごく熱い。シャワーヘッドから出てくる湯も熱い。カランの湯を水で調整しながら体を流して浴槽へ。
浴槽は3槽式。向かって右からジェット深湯で3人分ほどの大きさ。真ん中がバイブラ湯で4人分ほどの大きさ、左が「宝寿湯」という薬草をブレンドした茶褐色の薬湯で大きさは2~3人分だ。
とりあえず真ん中のバイブラ湯に足を突っ込んでみる。
熱い。
我慢して肩まで浸ると肌がチリチリしてくる。湯温計を見た。
49°C!
熱めが好きなわたしもこれは無理。1分足らずで出て、宝寿湯の湯温計を見ると48°C! 右のジェット湯はというとなんと50°C!!
熱すぎるにせよ、ぬるすぎるにせよ、湯温が普通でないことの理由は2つしか思い浮かばない。銭湯側のミスか、銭湯主または常連客の好みのどちらかである。可能性としては当然後者のほうが高い。したがってわたしは絶対に水で埋めない。
「ここの湯は自分には熱すぎる」と、ちょっと残念な気持ちになりながらシャンプーをして体を洗って、今度は宝寿湯のほうへ。バイブラ湯より湯温がわずかだが低いせいか、薬湯のため肌当たりがなめらかなせいか、湯温計ほど熱くは感じない。
2分ほど浸かり、ジェット湯には入らぬまま、そしてバイブラ湯とジェット湯に入る人をほかに見ることがないまま脱衣所に戻った。先ほどの先客たちはみな帰ったようだ。すばやく脱衣所内をチェックする。レトロな形の体重計、それほど古くはないマッサージチェアが1台、ハンドドライヤーが1つ、備品は以上だったと思う。ロッカーはSAKURA III。すべて3:4タイプで39箱。脱衣カゴがいくつか用意されている。
ここでひとりのお客さんが浴室から出てきて、「熱すぎるよ」と言い出した。脱衣所にいた別のお客さんも「おぅ、熱かったな」と答える。そうこうしているうちにまた別のお客さんが来店。常連さんたちと「この時代に燃料の無駄だよ」とか「熱い」話を交わしながら服を脱ぎ浴室へ出て行ったものの、間もなく「50°Cもあるよ。すげー熱いよ。」と脱衣所まで戻ってきたのには思わず笑ってしまった。と同時に、ここの常連さんたちが好きになった。
わたしが来たときに世間話をしていた常連さんや、脱衣所に戻るなり「熱い」と言った常連さんも含め、浴槽には水栓が付いているのにそれをひねる者はいなかったということだ。
「きちんと掛け湯をしてから浴槽に入る」とか、「タオルを浴槽に入れない」といった全国共通の入浴心得のほかに暗黙のルールというものが銭湯にはあると思うが、「むやみに湯を埋めない」というのがその代表的なものだろう。
さて、このときの常連さんたちだが、熱すぎる湯に不満を言っているというよりは、我慢大会を楽しんでいるかのような感じだったことを付け加えておく。
帰り際おかみさんに「立派な建物ですね」と声をかけると、「いやー、古くてね」とおっしゃられた。わたしは「確かに古いよね」と心の中で言い、もうひとつの本音を口にした。
「でも、ちゃんと残っているのがいいんじゃないですか」
平和湯
川崎市多摩区堰1-4-16
044-822-9010
営業時間 15:00~23:00
定休日 木曜(と第1火曜)
大きな地図で見る
自転車で行くなら多摩川サイクリングロードを走り、「多摩新町」という信号のところで住宅地に入ればよいが、この信号のところには一般道に降りるスロープがないので注意(階段はある)。
「多摩新町」から南に伸びる道を進むと、ほどなく商店が数軒見えてくる。平和湯はこのブロックにあるのだが、道からは少し奥まっているうえ、入口への通路が狭いのでうっかりしていると通り過ぎてしまう。「喜楽庵」というそば屋の右隣、「フレンドショップいとうや」という雑貨屋の向かいに平和湯はある。
平和湯の建物は破風造りの木造。川崎浴場組合連合会オフィシャルサイトによれば築四十数年だそうだ。
入口前の通路にはすでに自転車が10台近く置かれている。この通路からフロントのおかみさんが見える。
暖簾は牛乳石鹸のもの。中へ入ると左に下足箱、右に傘箱がある。上がると右手に3畳ほどのロビーが見える。男湯は左側だ。
あまり広くない脱衣所に入るとちょうど湯上りの常連さんたちが真ん中の長椅子に腰掛け世間話をしていた。とりあえず近くのロッカーにバックパックとヘルメットを押し込み浴室へ出た。
浴室は脱衣所の2~2.5倍ぐらいの広さ。間口6m×奥行10mぐらいだったろうか。入ってすぐ左(外壁側)に水風呂とサウナ室があり、右(仕切り壁側)にシャワーブースが2つ。そのうちの1つにはハンドシャワーが付いていたが、もう1つは水の栓が取れていた。カラン配置は仕切り壁側より5+(6+6)+4、すべてシャワーヘッド付き。
黄色いケロリンの桶とプラスチック製の椅子を取りカランに陣取る。桶に湯を出し、手を入れると熱い。すごく熱い。シャワーヘッドから出てくる湯も熱い。カランの湯を水で調整しながら体を流して浴槽へ。
浴槽は3槽式。向かって右からジェット深湯で3人分ほどの大きさ。真ん中がバイブラ湯で4人分ほどの大きさ、左が「宝寿湯」という薬草をブレンドした茶褐色の薬湯で大きさは2~3人分だ。
とりあえず真ん中のバイブラ湯に足を突っ込んでみる。
熱い。
我慢して肩まで浸ると肌がチリチリしてくる。湯温計を見た。
49°C!
熱めが好きなわたしもこれは無理。1分足らずで出て、宝寿湯の湯温計を見ると48°C! 右のジェット湯はというとなんと50°C!!
熱すぎるにせよ、ぬるすぎるにせよ、湯温が普通でないことの理由は2つしか思い浮かばない。銭湯側のミスか、銭湯主または常連客の好みのどちらかである。可能性としては当然後者のほうが高い。したがってわたしは絶対に水で埋めない。
「ここの湯は自分には熱すぎる」と、ちょっと残念な気持ちになりながらシャンプーをして体を洗って、今度は宝寿湯のほうへ。バイブラ湯より湯温がわずかだが低いせいか、薬湯のため肌当たりがなめらかなせいか、湯温計ほど熱くは感じない。
2分ほど浸かり、ジェット湯には入らぬまま、そしてバイブラ湯とジェット湯に入る人をほかに見ることがないまま脱衣所に戻った。先ほどの先客たちはみな帰ったようだ。すばやく脱衣所内をチェックする。レトロな形の体重計、それほど古くはないマッサージチェアが1台、ハンドドライヤーが1つ、備品は以上だったと思う。ロッカーはSAKURA III。すべて3:4タイプで39箱。脱衣カゴがいくつか用意されている。
ここでひとりのお客さんが浴室から出てきて、「熱すぎるよ」と言い出した。脱衣所にいた別のお客さんも「おぅ、熱かったな」と答える。そうこうしているうちにまた別のお客さんが来店。常連さんたちと「この時代に燃料の無駄だよ」とか「熱い」話を交わしながら服を脱ぎ浴室へ出て行ったものの、間もなく「50°Cもあるよ。すげー熱いよ。」と脱衣所まで戻ってきたのには思わず笑ってしまった。と同時に、ここの常連さんたちが好きになった。
わたしが来たときに世間話をしていた常連さんや、脱衣所に戻るなり「熱い」と言った常連さんも含め、浴槽には水栓が付いているのにそれをひねる者はいなかったということだ。
「きちんと掛け湯をしてから浴槽に入る」とか、「タオルを浴槽に入れない」といった全国共通の入浴心得のほかに暗黙のルールというものが銭湯にはあると思うが、「むやみに湯を埋めない」というのがその代表的なものだろう。
さて、このときの常連さんたちだが、熱すぎる湯に不満を言っているというよりは、我慢大会を楽しんでいるかのような感じだったことを付け加えておく。
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帰り際おかみさんに「立派な建物ですね」と声をかけると、「いやー、古くてね」とおっしゃられた。わたしは「確かに古いよね」と心の中で言い、もうひとつの本音を口にした。
「でも、ちゃんと残っているのがいいんじゃないですか」
平和湯
川崎市多摩区堰1-4-16
044-822-9010
営業時間 15:00~23:00
定休日 木曜(と第1火曜)
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